AI向け低電力半導体の開発

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AI向け低電力半導体の開発について考えてみるページです。この記事を公開しようと考えたのは、AI向け低電力半導体の開発支援(https://news.yahoo.co.jp/articles/77f2f1b998d9b6a81d8dd89c9a09681dc330d5d5)という記事を読んでからである。この記事を読んで、支援するのは良いのだが開発するためにはどこから素材を集めてどのように製造されるのか気になった。

まず半導体の製造にはいくつかの重要な素材が必要です。

1.シリコンウェハー(半導体基板): シリコンウェハーは半導体デバイスの基盤となる重要な素材です。シリコンウェハーはシリコン単結晶から作られ、高純度のシリコンが使用されます。シリコンウェハーの製造は複雑なプロセスで行われ、精密な製造技術が必要です。

(補足:原材料の調達。半導体製造に使用される主要な素材の一つであるシリコンは、シリコン鉱石(珪石)から抽出されます。シリコン鉱石は世界中の鉱山で採掘され、精製された後にシリコンウェハーの形状に加工されます。日本の場合、シリコンウェハーの製造には輸入されたシリコン鉱石が使用されることが一般的です(参照:世界の需給動向(https://mric.jogmec.go.jp/public/report/2014-06/30.20140601_Si.pdf))。)

2.化学薬品: 半導体の製造プロセスでは、さまざまな種類の化学薬品が使用されます。例えば、酸やアルカリ溶液はウェハーの表面処理に使用され、フォトレジストやエッチングプロセスには化学的エッチング剤が使用されます。これらの化学薬品は高純度でなければならず、製造プロセス中の不純物や汚染物質が含まれていない必要があります。

3.フォトマスク: フォトマスクは、半導体製造プロセスで使用されるパターンを作成するための重要なツールです。フォトマスクは、半導体チップ上のパターンを光によって転写するために使用されます。フォトマスクは通常、ガラスまたはクォーツの基板にレジストパターンが形成されたものです。

4.イオン注入剤: イオン注入は半導体製造の重要なプロセスであり、イオン注入剤が使用されます。イオン注入は、半導体ウェハーに特定の元素を導入するために行われ、ウェハーの物理的および電気的特性を制御するために使用されます。

次に半導体製造に使用される素材のサプライチェーンについて書きます。

1.シリコンウェハー(半導体基板): シリコンウェハーの主要な供給源は、いくつかの大手シリコンウェハーメーカーです。これらのメーカーは、高純度のシリコンからウェハーを製造しています。代表的なシリコンウェハーメーカーには、Shin-Etsu Handotai(https://www.shinetsu.co.jp/jp/)、SUMCO(https://www.sumcosi.com/)、Siltronic(https://www.siltronic.com/en/)などがあります。これらのメーカーは、シリコンウェハーの製造における主要なサプライヤーとして知られています。

2.化学薬品: 半導体製造に使用される化学薬品は、いくつかの化学物質メーカーや供給業者から入手されます。日本の企業である東京応化工業(https://www.tok.co.jp/)や日本化薬(https://www.nipponkayaku.co.jp/)などは、半導体製造に使用される高純度の化学薬品の供給で有名です。また、国際的な企業としては、Dow Chemicals(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%83%AB)、Air Products(https://www.airproducts.co.jp/)、BASF(https://ja.wikipedia.org/wiki/BASF)なども半導体産業向けの化学薬品を供給しています。

3.フォトマスク: フォトマスクは、特定のパターンを作成するために使用される重要なツールです。フォトマスクは通常、専門のマスクメーカーによって製造されます。主要なマスクメーカーとしては、ASML(https://ja.wikipedia.org/wiki/ASML)、Photronics(https://www.photronics.com/)、Toppan Photomasks(https://www.photomask.com/)などがあります。これらのメーカーは、高精度なパターンを持つフォトマスクを製造し、半導体メーカーに供給しています。

4.イオン注入剤: イオン注入剤は、半導体ウェハーに特定の元素を導入するために使用されます。これらの剤は、いくつかの化学物質メーカーや材料メーカーから入手されます。代表的なメーカーには、Implant Sciences、Sumitomo Chemical(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E5%8F%8B%E5%8C%96%E5%AD%A6)、Mitsubishi Materials(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB)などがあります。

半導体素材の確保について世界的な視点で見ると、主要な素材や製造技術はいくつかの国や地域に集中しています。例えば、シリコンウェハーの製造は主にアメリカ、台湾、韓国、日本などの地域で行われています。また、特殊化学薬品やフォトマスクの製造には、日本、アメリカ、欧州、台湾、中国などの国々が関与しています。

参考:世界的な半導体サプライチェーンの詳細な分析(In-depth Analysis of the Global Semiconductor Supply Chain)

半導体産業はグローバルな競争が激しく、世界的なサプライチェーンが形成されています。異なる国や地域の企業が相互依存し、製造技術や素材の供給を行っています。そのため、半導体産業において国際的な協力やパートナーシップを重視し、異なる国や企業と連携しながらサプライチェーンを構築することが日本でも必要であり、これなしでは半導体製造のサプライチェーンを確立することは難しいと考えている。

次に、AI向けの低電力半導体の開発には、どのような素材や技術が必要か。

1.フィンフェット(FinFET)構造: フィンフェットは、従来のプレーナーMOSFET(金属酸化物半導体場効トランジスタ)よりも優れた低電力性能を持つ半導体デバイス構造です。フィンフェット構造では、チャネルの代わりに薄いフィン状のシリコンを使用し、電流の漏れを減らすことができます。

参考:FinFET Technology for Low-Power Applications(低電力アプリケーション向けの FinFET テクノロジー)

参考:A Novel Low Power 4:2 Compressor using FinFET Devices(FinFET デバイスを使用した新しい低電力 4:2 コンプレッサー)

2.高誘電率絶縁体(High-k dielectric): 高誘電率絶縁体は、ゲート絶縁層に使用される材料で、電荷を効果的に保持することができます。従来の絶縁体材料よりも高い誘電率を持つため、ゲート電流の漏れを減らすことができます。代表的な高誘電率絶縁体材料としては、Hafnium oxide(ハフニウム酸化物)やHafnium silicate(ハフニウムシリケート)があります。

参考:What are the advantages and challenges of using high-k dielectrics in semiconductor devices?(半導体デバイスに高誘電率材料を使用する利点と課題は何ですか?)

3.低抵抗の金属ゲート: 金属ゲートは、トランジスタのゲート電極に使用される材料です。低電力半導体では、低抵抗の金属ゲートが求められます。一般的な金属ゲート材料には、Tungsten(タングステン)やTitanium nitride(チタンニトリド)などがあります。

参考:Tungsten and tungsten silicide (WSi/sub x/) as gate materials for trench MOSFETs(トレンチ MOSFET のゲート材料としてのタングステンおよびタングステンシリサイド (WSi/sub x/))

これらの素材や技術を組み合わせて、低電力で高性能な半導体デバイスを開発することが望まれる。しかし、一部の素材や技術については、日本が十分な供給能力を持っている場合もありますが、一般的には日本だけで完全な供給チェーンを確立することは難しい。理由については以下。

フィンフェット構造: フィンフェットは、現在の主要な半導体メーカーが独自に開発した技術です。特に、IntelやTSMCなどの海外の大手企業がフィンフェット技術を主導しており、特許やノウハウが集中しています。参考:Intel Debuts Intel 4 Technologies Among 13 Papers at the 2022 VLSI Symposium(インテル、「2022 VLSI Symposium」で13本の論文の中から「インテル 4 テクノロジー」を初公開)

高誘電率絶縁体: 高誘電率絶縁体は、主にアメリカや欧州の企業が開発しています。特に、IntelやTSMCが開発したハフニウム酸化物ベースの高誘電率絶縁体が広く採用されています。参考:High-k and Metal Gate Transistor Research(High-kおよびメタルゲートトランジスタの研究)

金属ゲート材料: 低抵抗の金属ゲート材料も、主にアメリカや欧州の企業が開発しています。例えば、Intelはタングステンベースの金属ゲートを採用しています。参考:Intel 4 is a Major Step on Intel’s Path Back to Semiconductor Dominance(Intel 4は、インテルが半導体の覇権を取り戻すための大きな一歩となる)

高移動度半導体材料: 高移動度半導体材料は、主にアメリカや欧州の企業が開発しています。

これらの素材や技術は、半導体産業においてグローバルな競争が激しく、複数の国や地域の企業との連携が重要。日本の企業は技術の研究などを行っているが、国際的なパートナーシップや技術交流を通じて、これらの素材や技術を取り入れることが求められる。

なお、今回AI向け低電力半導体の開発について考えてみる、または調べてみて面白いと感じたので、引き続き調査などを行いたいと思う。

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