テクノロジー(半導体、AI)と水の関係

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テクノロジー(半導体、AI)と水の関係について解説しています。

マイクロソフトを含む大手テクノロジー開発者は、AIツール(OpenAIなど)への需要の増大には、高価な半導体から水消費量の増加に至るまで、多額のコストがかかることを認識している。最新の環境報告書の中で、2021年から2022年にかけて全世界での水の消費量が34%急増したことを明らかにしている(約17億ガロン、オリンピックサイズのプール2500個分以上)。今年後半に発表される予定の論文ではChatGPTが5~50のプロンプトや質問をするたびに500ミリリットルの水を飲み干すと推定されている。その範囲は、サーバーが設置されている場所や季節によって異なり、この試算には、データセンターに電力を供給する発電所の冷却など、各社が測定していない間接的な水の使用量も含まれている(参照:https://www.cnbc.com/2023/09/11/artificial-intelligence-technology-behind-chatgpt-was-built-in-iowa-with-a-lot-of-water.html

また別の記事では「カリフォルニア大学の研究者らによって来年発表される予定の報告書(フォーチュン経由)(参照:https://fortune.com/2023/09/09/ai-chatgpt-usage-fuels-spike-in-microsoft-water-consumption/)。Microsoftは、環境への影響について年次報告書(参照:https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RW15mgm)を提出することを約束しているため、一般にエネルギー使用量については非常に透明性がある。そのため、Bing Chat や ChatGPT などのツールが存在するデータ センターの冷却需要の増加により、昨年水の使用量が 34% 急増したことがわかっている。Googleも20%の増加を報告しており、カリフォルニア大学の研究者らはこれが生成 AI の成長によるものであると考えている」と書かれている(参照:https://www.yahoo.com/entertainment/bing-chat-chatgpt-1-bottle-103756052.html)。

次に、1987年に設立されたTSMC(専業ファンドリービジネスモデルの先駆者で、設立以来、世界最大の専業半導体ファンドリー)の工場では、1つのチップに必要な水の量は8ガロン弱(1ガロンは3.78541リットルに相当)。綿花工場に関しては約10ガロンが必要。たった1つの工場を操業するために、TSMCでは1日890万ガロン(MGD)が必要である。(MGD(Million Gallons per Day)とは、水の流量を数量化するために使用される単位。定義としては、「1日あたりの百万ガロン」という意味。1MGDは1日に100万ガロンの水が移動する。)参考までに、芝生への散水など外での水利用を含む住宅用水の使用量は、およそ200MGDである(参照:https://www.americanbar.org/groups/environment_energy_resources/publications/wr/a-tale-of-two-shortages/

また、データセンターは冷却のために直接水を消費し、場合によっては57%が飲料水から供給され、再生不可能な発電に必要な水を通して間接的に水を消費する。米国では、データセンターの水消費量(17億リットル/日)は、総水消費量(1,210億リットル/日)に比べると少ないが、水消費量を測定しているデータセンター事業者は3分の1以下であり、透明性に問題があると言われているようだ(参照:https://www.researchgate.net/publication/349381660_Data_centre_water_consumption)。さらには、ある試算によると、15メガワットのデータセンターでは、1日に最大36万ガロンの水を使用している(参照:https://www.datacenterknowledge.com/archives/2012/08/14/data-center-water-use-moves-to-center-stage

他にも半導体の産業は、年間2,640億ガロンという大量の水を消費し、個々の工場が1日に使用する水の量は、数千万ガロンになる。これを考慮すると、米国の平均的な水の使用量は1人1日あたり約82ガロン(310リットル)であり、1000万ガロンは小都市(人口122,000人)の家庭の1日の水の消費量に相当するといったことが書かれている記事(参照:https://www.semiconductor-digest.com/water-supply-challenges-for-the-semiconductor-industry/)も見つけることができ、2016年の古い記事にはなるが、オレゴン州の小さな町、プラインヴィルに位置するデータセンターを中心に、フェイスブックやアップルなどのテクノロジー企業が水の消費を削減しようとしている背景について語られている記事(参照:https://www.earthmagazine.org/article/thirsty-business-how-tech-industry-bracing-water-scarce-future/)では、データセンターは世界の電力使用量の約2%を占めており、冷却には水が必要で、中規模の15メガワットのデータセンターでは、伝統的に数十万リットルの水を一日中使用する。さらに、サーバー内部には水を必要とするマイクロチップがあり、ラップトップやスマートフォンのチップ1つを作るために最大30リットルの水が必要で、平均的な半導体工場は、5万人の町と同等の水を1年で消費することが書かれている。

次に日本での現状についても書いてみる。日本の東京都千代田区に本社を置く半導体メーカーである「ラピダス(Rapidus)」は、北海道千歳市に次世代半導体工場の建設を勧めているが、量産時に必要な下水インフラを整えようとしている。ラピダス(Rapidus)が目指す2027年の量産開始時には工場で1日数万立方メートルの水が必要とされるので、半導体の製造においても水が必要なことがわかる(参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC127R80S3A910C2000000/)。

なお、テクノロジー(半導体、AI)と水の関係については引き続き時間があれば調査を行い、追記したいと思う。

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