農業生産に必要なエネルギーという記事を公開しましたが、この中でさらに疑問に感じていることを深堀りして解説しています。今回は「農業においての窒素肥料の必要性や生産などについて」です。
窒素肥料の生産においては、主にアンモニアが使用されています。アンモニアは、窒素と水素を原料として「ハーバー・ボッシュ法」と呼ばれる方法で生産されます。この方法では、高温高圧下で反応を進めるために、天然ガスが使用されます。天然ガスは、メタンを主成分とする化石燃料であり、地下から採掘されます。その後、蒸留などの工程を経て、アンモニアの製造に使用されます。
窒素肥料の主要原料がアンモニアである理由は、窒素の気体が非常に不安定であるため、窒素を含む化合物を作ることが難しいためです。アンモニアは、窒素原子が3つの水素原子と結合した化合物であり、窒素原子を含む最も安定した化合物の1つです（New developments in ammonia synthesis:https://www.jst.go.jp/EN/achievements/research/hideo_hosono2018.html）。そのため、窒素肥料の製造には、アンモニアを原料として使用することが一般的となっている。
また、アンモニアは、大量生産される化学物質の1つであり、化学工業において幅広く使用されています。例えば、肥料の他にも、合成繊維やプラスチックの原料、冷媒、清掃剤などにも使用されています。
化学物質データベースであるChemSpider（http://www.chemspider.com/）においても、アンモニアが窒素の最も安定した化合物の1つであることが示されています。
では、なぜ農業には窒素肥料が必要なのか。窒素は植物の成長に必要な栄養素であり、窒素肥料は農業において重要な役割を果たしています。窒素が不足すると、植物の成長が遅くなり、収量が低下することがあります。また、窒素が十分に供給されない場合、植物が十分に健康的に成長できず、病気や害虫に対する抵抗力が低下する可能性があります。（Nitrogen Deficiency In Crops: How To Detect & Fix It:https://eos.com/blog/nitrogen-deficiency/）
窒素が植物の成長に重要であることは、多くの研究によって確認されています。窒素はタンパク質、クロロフィル、核酸、アミノ酸、ヌクレオチドなどの重要な生体分子の構成要素（Nutrition: What Plants and Animals Need to Survive:https://organismalbio.biosci.gatech.edu/nutrition-transport-and-homeostasis/nutrition-needs-and-adaptations/）であるため、植物の成長に必要な栄養素として不可欠であるとされています。
その他の参考ページ:
Multiple Facets of Nitrogen: From Atmospheric Gas to Indispensable Agricultural Input:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9410007/